ARにおいては実環境と仮想環境間での座標整合(キャリブレーション)が重要な技術課 題の一つとされている。作業空間を特定できる室内用途では、あらかじめキャリブレー ションを何らかの方法で一度のみ行えばよいが、プラント内を巡回し作業対象を次々に 変更する場合には、キャリブレーションはその都度実行しなければならない。頭部位置 姿勢の補正は、いわゆるビデオトラッキング[10]、 [11]方式が有効であるが、装置の構成要素が 多くなることから、本プロトタイプでは次のような簡易な方法を採用した。
図6に、作業ホットスポットに取り付けられた提案する治具 を示す。この治具は各面を異なる色を有する平面板であり、作業者は平面板と同じ平面 上に自身の視点が位置するように、平面板の色と見かけの面積を見ながら頭部の位置を 補正する。この治具を左右2箇所でそれぞれ内向きに設置することで、床上の頭部位置 を空間中に固定することができる。地上高は作業者の身長データから得ることで、座標 を固定できる。作業者は、できるだけ頭部位置を動かさないようにしつつ作業に入る。 作業者の頭部姿勢変化による仮想環境の位置ずれに対しては、HMD上部に設置された小 型3軸ジャイロセンサのデータより補正する。

図6: キャリブレーション用治具