next up previous
Next: フィールド保守作業 Up: AR技術を用いた作業支援 Previous: AR技術を用いた作業支援

作業工程管理とオンライン計測

AR技術はこれまで、新しいメディア環境を構築するという立場から研究されてきたこと が多く[2][3]、 工業作業を支援するシステム技 術ととらえた研究は少なかった。その数少ない例として、オフィス機器のメンテナンス を支援するためのARシステムがコロンビア大学[4]やMIT [5]で先駆的に研究され、また産業界ではボーイング社が ワイヤハーネス製造のためのARシステム[6]を構築し、 サイブナー社[7]がモバイル・アシスタントIIシステム を商用化している例が挙げられる。 これらのシステムでは、 HMDを装着した作業者にどこをどのように作業するかの指示を実対象上にスーパーイン ポーズすることによって、作業の複雑さを取り除くことに成功し、新しい作業スタイル を生み出した。しかしながら、これらの作業支援システムは作業情報を提示することが 中心であり、作業そのものの管理の自動化まで含めたものではなかった。

そこで、作業工程管理機能とオンライン計測機能を統合した検査作業支援システムを構 築した[8]。製造作業や、装置の検査などの保守 作業において作業手順を示したマニュアル、それに加えて調整や不具合発見のための計 測装置は不可欠 なものである。これらの作業時においては、マニュアルの参照や計測装置のモード変更、 計測値読み取り等によって、必ず作業対象から視線を逸す動作が起きる。このことが原 因となり、再び作業対象に視線を戻したとき本来の対象と異なった箇所を操作したり、 マニュアルの参照項目を読み飛ばすといった人為的な誤りを犯す可能性がある。そこで、 著者らがバーチャルマニュアルと呼ぶ作業工程管理システムが、作業対象の場所とその 作業内容、および必要な治具をAR技術によりオペレータに指示する。作業が計測の場合、 著者らがバーチャル計測器と呼ぶ、その計測機能に特化したオンライン計測器のGUIが 現れる。バーチャル計測器による計測値が設定範囲内の場合にのみ、バーチャルマニュ アルは次の作業工程に移る。

このような検査作業支援システムでは、ユーザは作業対象から大きく視線を動かすこと なく作業を続けることが可能になり、現在の作業項目が完了しない限り次の項目へは移 行しないロック機能で、疲労および人為的ミスの削減が可能となる。また、工場の国際 分業において、現地語へマニュアルを翻訳しなくてすむ利点なども考えられる。



Yoshihiro Ban (yosihi-b@is.aist-nara.ac.jp)
1998年 9月 8日(火曜日) 14時27分