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亀形石は2000年1月11日に奈良県明日香村の酒船石遺跡で 発掘された石造物である[1]。 図1に亀形石の外見を、表1にその諸元を示す。


| 幅 | 2.0m |
| 長さ | 2.4m |
| 高さ | 0.6m |
| 甲羅の直径 | 1.25m |
亀形石が設置されていた広場に敷き詰められてい
た砂岩の種類から、この遺構全体が斉明天皇(在位
A.D. 655-661)の命により飛鳥時代(A.D. 592-710)
に造られたものと推測されている。
甲羅が碗型にくりぬかれていることから、水を用
いた宗教儀式に使用されていたものと考えられてお
り、飛鳥時代の文化を解明する上で重要な鍵として
考古学者の注目を集めている。
本稿では異種計測手法より得られた性質の異なる
計測結果を統合することで行った亀形石のデジタル
保存の試みについて述べる。
現在、多種多様な計測手法が遺跡および遺物の保存に適用されている[2-4]。 ここでは、光波測量・非接触3 次元デジタイズ・35mm フィルムを用いた ステレオ計測といった複数の計測手法を採用する。 図2に保存の手順を示す。

光波測量により得られる疎な点群を図3に、
ステレオ計測より得られるテクスチャ付きの局所形状を図4にそれぞれ示す。
光波測量は全体の形状を同一地点からの計測で得られるため統合処理が不要であるが、
計測に時間を要するため高密度の計測を行うことは困難であり、
また表面のテクスチャを取得できない。
一方で、局所形状のみから全体を構成する場合は、
局所形状の統合時に誤差が蓄積するため再構築モデルが不正確
なものになる。
本手法では全体の骨格として光波測量の計測結果
を用い、その上に局所形状を配置することで、誤差
の蓄積なしにテクスチャ情報を含んだ詳細なモデル
を再構築することを可能とした。


対象物全体の詳細な形状を取得するためには、
全体の骨組みにおける適切な位置に局所形状を配置する必要がある。
この統合処理は測定前に貼付されたマーカの対応を手がかりにして行われる。
その際、局所形状の各座標を局所座標系からグローバル座標系へと
変換する必要がある。
この変換行列は、マーカ群の対応関係を基に、
対応マーカ間のずれの和を最小にするように
シミュレーティッドアニーリングを用いて算出する。
亀形石の再構成モデルを図5に示す。 テクスチャの不整合が若干みられるものの、 全体の形状が忠実に再現されている。

異種計測手法を用いて亀形石をデジタル的に保存することを試みた。
光波測量・非接触3次元デジタイズ・ステレオ計測という
性質の異なる複数の計測手法を用いることにより、
亀形石全体の3次元形状をテクスチャと共に細部まで取得することが
可能となった。
計測結果の統合は半自動的になされるため統合にかかる手間や時間が大きく削減され、
また全体の骨組み上に局所形状を貼り付けるために誤差の蓄積が未然に防がれた。
今後は、マーカの対応付けの自動化、
および色調まで含めたテクスチャの統合が課題である。
本研究を進めるにあたり御協力頂きました奈良県明 日香村および奈良国立文化財研究所に感謝致します。
概要を説明したMPEG1のデモムービーが
ここにあります(6.0MB)。
| 戻る | e-mail: masata-i@is.aist-nara.ac.jp last update: Aug. 29, 2001 |