水中ロボットの身振りによる遠隔操作


目次

  1. はじめに
  2. 提案するシステム
  3. 身振り情報の取得
  4. 身振り認識
  5. 基礎実験
  6. おわりに


1.はじめに

近年、スキューバダイビングを楽しむ人の数が増えつつある。 しかし、これは充分な体力や 知識などが要求されるため、誰でも手軽に楽しむことはできない。また、 十分な経験があっても、水深100mに至る 深海潜水を経験した人は非常に少ない。 また、スキューバダイビングでは、水深が 深くなるにつれて水圧が高くなるため、 潜水用呼吸機材が壊れたり、人間に害を及ぼしたり する危険が伴う。

一方、実際には体験できないような状態を体験するための バーチャルリアリティ(VR)に関する研究が近年盛んである。 そこで、本研究ではVR技術を利用し、 人間が実際には水中に潜らずにロボットを介して、スキューバ ダイビングを擬似体験できるシステムを提案する。水中ロボットの制御にお ける入力は被験者の身振りとする。水中ロボットの制御に関する研究もなさ れているが、身振りを認識して、水中ロボットを制御する研究は 例を見ない。


2.システムの基本構成

本研究では被験者の身振りを認識して水中ロボットを制御し、そのロボット に取り付けられたカメラで撮像された映像を被験者に提示するシステムを作成 する。

本システムの基本構成

本システムは主に身振りの認識、ロボットの制御、水中画像の出力 の3部分から構成される。

まず、身振りの認識部分では、 位置計測センサ(3SPACE社製、Polhemus)を被験者の頭部と 両手首に取り付ける。 頭部に取り付けられた位置計測センサからの情報は、 水中ロボットのカメラを回転させる 入力信号として用い、両手首に取り付けられた位置計測 センサからの情報は、水中ロボットのモータを制御する入力信号として用いる。 頭部を上下に、両手を泳ぐように動かし、位置計測センサに よって頭部と両手の位置を座標化する。その座標データを元に被験者の身振 りを認識する。

ロボットの制御部分では、 図に示す水中ロボットを用いる。この水中ロボット (広和株式会社製、KOWA75 Marine Comet) は、胴体の先端に上下90°回転できるCCDカメラを持ち、中央部、後部に 2個づつのモータを持ち、それぞれ垂直、水平方向の移動が 可能である。 最高前進速度約2knots(約3.6km/h)で、使用限度水深75mである。 身振りの認識部で得られた座標データを元に 頭部の垂直方向、手首の水平、垂直方向における身振り変化量を解析し、 水中ロボットのカメラと駆動系を制御する。

水中ロボット<すもぐり君>

水中画像の出力部分では、 被験者は水中環境を十分体験できるように移動体視覚誘導 装置 ( HMD:Head-Mounted Display、島津製作所株式会社製、STV-01) を装着し、 水中ロボットに取り付けられたCCDカメラにより得られた画像を HMDに表示させ、仮想水中環境を作成する。


3.身振り情報の取得

位置計測センサ(Polhemusセンサ)より、トランスミッタ座標系に対するセンサの位置やセンサのオイラ角が分かる。つまり、手の位置:Ox,Oy,Ozと手の平の向き: z'方向のX軸に対する方向余弦、z'方向のY軸に対する方向余弦、z'方向のZ軸に対する方向余弦が分かる。


4.身振り認識


5.基礎実験

まず、計算機からの入力によって直接潜水艦ロボットの制御を行なった。 水中ロボットの駆動系はすべてアナログ制御であるため、計算機からの制御信 号はD/A変換した。カメラの制御は約1.5V〜4.0Vの範囲の駆動電圧 で行ない、モータの制御は約2.0V〜3.5Vの範囲の駆動電圧で行なった。 モータの水平方向の制御では2.84Vより低い駆動電圧ではモータを負回転 (後退)に、高い駆動電圧では正回転(前進)とし、 また、垂直方向では2.66Vより低い駆動電 圧ではモータを負回転(上昇)に、高い駆動電圧では正回転(下降)とした。 次に、計算機による身振り認識による水中ロボットの制御の実験を行ない、 基本動作を確認した。


6.おわりに

今回はシステムを作成上の基礎実験を行なった。 今後の課題としては、計算機による身振り認識の精度をあげ、 同時に水中物体の認識を行なう予定である。


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