いたわりエージェントに関する研究

 −ユーザ挙動の認識− (内容詳細)


目次

  1. 背景
  2. なぜいたわりなのか?
  3. 研究のながれ
  4. 構成
  5. 実験


1.背景

情報機器の高機能化と一般への急速な普及により,機器に対する十分な知識を 持たないユーザが増加している.これまでならば,ユーザが操作に習熟するた めに少し努力するだけで済んでいたところが,今日のような状況になってくる と,それだけでは充分に対応しきれなくなってきている.こういったユーザか らの歩み寄りだけでなく機器の側からのアプローチがあることで,ユーザの負 担を軽減することが可能ではないか,と考えられる.


2.なぜいたわりなのか?

ユーザと情報機器の親和性を向上させて,より良い効率で作業を行うためであ る.通常,対人関係において,“いたわり”は重要な意味を持っていると考え られる.

この“いたわり”という言葉は非常に曖昧な表現であるので,それを再定義し て“能動的困窮者支援”と考えることにする.人は人とコミュニケーションを とる時,様々なチャネルから相手の挙動を観測し,各々から得られる情報に応 じて柔軟にコミュニケーションを行っている.これを“いたわり”の見地から 考えると,相手の外見・発話から,どのようなことに窮しているか,何を求め ているかを知り,それに応じて相手の支援行動をとるものと言うことができる.

また,人間同士が接する時,心理的な面からも,“いたわり”は潤滑剤か,あ るいは,それ以上の働きをもってコミュニケーションを円滑に進め,作業効率 を向上させている.

これらをユーザと情報機器の間にも適用することができれば,従来以上にユー ザの負担を軽減し,かつ,作業効率の向上が計れると思われる.


3.研究のながれ

近年の情報機器の高度化・複雑化にともないエンドユーザ数が増大しているに も関わらず,ヒューマン・インタフェース部の能力向上はそれに準じていない. ユーザに負担をかけることなく,機器の側からユーザ活動を認識・支援する必 要性が増している.

また,旧来,このような感性や感情といったものは機器の開発に際して,あま り重要視されていたとはいえず,そのためにユーザには不必要に大きな負荷が かかってきた.しかしながら,メンタルな部分が作業に与える影響は決して小 さなものではなく,これを無視しては近年急速に変化を遂げる環境に適応する のは簡単なことではなくなってきた.

本研究では,ユーザの挙動や入力状況よりユーザの情報を獲得して,ユーザの 状態を推定し,それに応じた出力を提示することでユーザの作業効率向上をは かることを目的としている.


4.構成

本研究の手始めとして,比較的簡単な要素からなるプロトタイプの作成を行っ た.下にそのレイアウトを示す.

構成の核となるものは,ユーザの入力状況を取得するターミナル,及び,その 結果がエージェントから出力される画像ウィンドウである.ユーザがターミナ ル上から計算機を操作することで,ユーザ側から特に働きかけることがなくと も,計算機側がユーザ情報の取得を能動的に行い,ユーザに表出する情報の変 更を行うこととなる.獲得される情報としては,ユーザの入力内容,及び,打 鍵リズムがあり,それに加え,本研究室の更科が行っている赤外線画像を用い て認識するユーザの外部挙動変化も用いる.

現在は,開発段階であるため,リズム変化のグラフと入力内容を逐次表示させ ている.今後は,エージェントがどのような状態にあるのかをアニメーション 表示させてみて,そのことによりユーザの操作感がどのように影響を受けるか も確認してみたいと考える.

<レイアウト>

5.実験

システムは,WSと赤外線カメラから成る.操作状況は,下に示すような形と なる.ディスプレイ上の鏡は赤外線カメラの視野を広げるために用いている.

<操作状況概観>

現在のところ,作業中の画面表示は下のようになっている.右下のモノクロ画 像は赤外線カメラより取り込まれたユーザの外観である.

<開発中の画面>

この画面上に表示されているもののうち,エージェントより出力されるものは 次の通りである.まず,エージェントからの表出画像,次に打鍵リズムの推移 と入力内容の表示となっている.

<出力情報(拡大)>


研究の概要へ戻る


柴田 豊彦(toyohi-s@is.aist-nara.ac.jp )