現在実用化されている超音波血管内視鏡は,超音波ビームのラディアル走査に よって,血管壁の2次元断層像を獲得する装置である.したがって,内視鏡の 前方に存在する狭窄病変箇所の観察は不可能である.そこで本研究では,超音 波リングアレイプローブを使用し,超音波球面波パルスの送受波による前方3 次元瞬時映像法を提案する.血管内前方を可視化することにより,狭窄病変箇 所の早期発見,治療が容易となる.
1・計測領域を直交量子化(N個のボクセルに分割)する
2・振動子の1つ(送波子)から計測領域に向けて超音波球面波パルスを送波する
3・計測領域からのエコーを残りの振動子(受波子)で受波し,A/D変換後, それぞれの受波子に対応するメモリにエコーの振幅値を保存する
4・各受波子について,送波子→ボクセルi→受波子のパルス伝播時間を計算する
5・各受波子のメモリから,パルス伝播時間に対応する時間にあるエコーの 電圧値を取り出し,それぞれの絶対値を加算する
6・加算された値をボクセルiの輝度値とする
7・処理2〜6をN個全てのボクセルについて行う
8・処理2で使用した送波子とは異なる振動子を送波子とする
9・処理2〜8を振動子の個数分だけ繰り返す
10・処理6で得られた振動子の個数分の輝度値を足し合わせる
11・N個の輝度値を256階調に輝度変調する
12・輝度値に閾値を設定し2値化し,3次元空間上に距離画像として表示する
実験に使用したシステムの構成を以下に示す.
計測は,水中において,上図の左側に見える穴からリングアレイプローブを挿 入し,閉塞部分を観察できるように行った.計測領域は,リングアレイプロー ブの前方7.5mm離れた位置から3.2mm×3.2mm×6.4mm の大きさとし,計測領域 内を8×8×16 のボクセルに分割した.
本システムによって再構成した3次元画像を以下に示す.ワイヤーフレームは 計測領域を示し,0.8mmごとに描かれている.また,矢印は送波を行った方向 を示している.
前方に,閉塞の開始部分が確認でき,後方に終了部分も確認できる.本手法に よる画像獲得は,非常に短時間で終了する.フレームレートにすれば,約 4700images/secとなり,ビデオレートの30images/secと比べても非常に高速で あることがわかる.このことより,本手法が実時間計測に有効であり,走査式 映像法では不可能であった,血管壁や弁などの高速で変形する対象の計測や, プローブ自身が高速で移動しながらの計測に適していると言える.
本手法によって,現在使用されている超音波血管内視鏡では不可能であった血 管内前方立体視が可能となるため,臨床現場において狭窄病変の早期発見,治 療に役立つ新しい超音波血管内視鏡として,早期に実現されることを希望する.
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