このようなさまざまな技術に適用可能なデータは、遺物全周囲にわたる密な座標点群である。また、色彩を利用するためには、それぞれの座標点が色情報を持っているべきである。
現在の考古学における遺構などの実測図は、各方向から見た外観を特徴的な線分(稜線など)で描き、その周辺の特徴を描き添えたものが一般的である。 この図を得るためには、人間の多大な労力を必要とする。しかも線分の間を形作る面の形状(細かい凹凸)や色に関する情報を持たないため、正確に立体を再構成することは不可能である。
本研究では、フィールド計測の手間を削減し、しかも密で色彩情報を持つ立体データを獲得する手法を提案する。 立体再構成処理は、「ステレオマッチング法」という画像処理応用技術と、近年遺構計測に広く導入されつつある光波測量で得られるデータを融合することにより行う。
持ち運びが可能な比較的小さな凸物体であれば、回転テーブルの上にのせ、回転角度と関連づけながら種々のセンサを用いて計測することにより、全周囲にわたる三次元形状を取得することが可能である。 この場合、能動的に対象物に光を当て、光の当たった位置を別の角度からとらえ、三角測量の原理を応用して各部分までの距離を求めることにより、正確な形状を取得する方法がとられることが多い。
しかし、屋外の比較的大きな対象物を計測する場合、計測機器側を移動させながら形状データを取得せざるをえない。 しかも太陽光が非常に強いため、対象物に当てた光を検出する手法をとることは困難である。
したがって、光を当てる計測手法でなく、対象物そのものが持つ自然な色や模様を利用して、三次元形状を求める手法であるステレオマッチング法が屋外計測に適している。 しかしステレオマッチング法は二台の横に並べたカメラで撮影された二枚の写真(ステレオ写真)をもとに奥行き情報を得る手法なので、カメラ側の物体表面の情報しかなく、背面や物体内部の情報を持っていない。 したがって、全周囲にわたる形状を求めるためには、様々な方向からステレオ写真を撮影し、それぞれから得られる表面形状を張り合わせる必要がある。
得られる各表面形状は誤差を含み、統合が非常に難しい。そこで、それらの統合処理における骨組みともいえるデータを光波測距儀により測量する。
本研究で提案する手法は、
研究の概要へ戻る