レーザーブレイクダウンによる球面波を用いた3次元超音波イメージング


1 始めに

リングアレイプローブを用いた3次元超音波イメージングは医療や工業などの分野で効果的であると考えられている.[] たとえば,血管の内部や濁水のような工学的な計測が不可能な状況下において超音波イメージングは有効である.しかし,従来の超音波振動しにより発生される球面波はある程度の指向性を持つため,十分に広い計測範囲を確保することが難しい.そこで本研究では,計測範囲を広く取り,かつ,明瞭な再構成像を得るためにレーザーブレイクダウンにより発生する完全な球面波を用いた3次元超音波イメージングの方法を考える。

2 レーザーブレイクダウン

レーザーブレイクダウンはレーザーをレンズによって集光することにより,その焦点でプラズマが発生する現象である.この現象は光と音波を発生する.発生された音波は,可聴領域から不可聴領域までの周波数を含む完全な球面波である.図1はレーザーブレイクダウンを発生させるための装置である.また,図2にレーザーブレイクダウンのスナップショットを示す.

 

 

 

 

 

図1                   図2

3 実験 

今回の実験では六角レンチの画像再構成を試みた.(図3)エコーの計測にはニードルはドロフォンを用いた.開口合成法によって再構成を行う場合は,いくつかの点で計測を行う必要がある.本実験では,5×5の点で計測を行った.(図4)

 

 

 

 

 

 

 

 


図3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


図4

4 結果

4.1 計測結果

図5はある計測点におけるエコーの波形である.グラフには3つのピークがあり,1つ目の最も大きいピークはブレイクダウンからの直接波である.2つ目のピークが計測対象からのエコーで,最後のピークは水槽の壁からのエコーである.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図5

4.2 再構成画像

計測対象の再構成画像を次に示す.図6は図3に対応しており,図7は図3に対応する.


図6                                                                  図7

5 結論

今回の実験では明瞭な再構成画像を得ることができなかった.考えられる原因としては,使用した計測系ではハイドロフォンを正確な位置に設定することが難しかったことが挙げられる. また,計測対象からのエコーとそれ以外のエコーとの分離が難しいという事も考えられる.この問題はレーザーブレイクダウンを用いる利点と問題点のコンフリクトである.

6 今後の課題

l       計測対象からのエコーとそれ以外のエコーとの分離方法

l       再構成アルゴリズムの改良

参考文献

[1] A. Matani, M. Nambu, A. Kondo. O. Oshiro and K. Chihara: A Method for Measurement with High Resoluton Using Ultrasound Spherical Waves: Jpn.J.Appl. Phys.Vol36,pp.3255-3259(1997)