デジタル形状計測に基づく銅鏡の分類


銅鏡とは
考古学や古代史に興味を持ったときに、博物館等へ見に行ったときに展示されている確率が高いものです。また、古墳から多数出土した、という話題がよくニュースで報道されます。銅鏡は権力者の性質が呪術的要素を強く含んでいるとされる前期古墳より出土します。出土した銅鏡には形式がいくつかあり、その形式・文様によって分類します。
また、注目されるのは邪馬台国論争においてです。三国志・魏書「烏丸鮮卑東夷伝倭人条」に、魏の明帝が邪馬台国女王卑弥呼の遣使に対する答礼として銅鏡100枚を与えた、という記述があるためです。
デジタル形状計測の意義
遺跡から出土した品物は、長年土中に埋もれているために腐食・破損があります。これらには保存処理が必要です。この処理において形状データを必要とする場合があります。また、出土した状況(土がついたままの状態)を必要とする場合もあります。これらのデータの保存のために実測図・写真・拓本等を従来使用してきました。しかし、最も正確なデータとなる実測図については、作成に非常に時間がかかります。このデータ取得にデジタル計測を用いれば、時間はある程度決まり、また計算機で利用することが容易となります。
データの形式変換によって、VRMLやCADソフトに取り込むことも可能となります。
銅鏡の形状分類
銅鏡の分類が文様によって行われると前節において述べましたが、文様は主に円の内側、内区と呼ばれる部分に存在します。この文様の一致性を見るために、テンプレートマッチングを使用します。残差逐次検定法を最初に用いましたが、距離情報を画像化したものを使用したため、良い結果は得られず、ピクセル毎の相関値を取るように変更しました。この結果、出土した銅鏡のうち同型と呼ばれるものについては、ほぼ同位置を指し示し、相関値は約0.8となりました。それに対し、別の型による銅鏡では、よく似た文様を選び出しましたが、相関値は約0.4でした。

同型鏡での最大相関値によって選び抜かれた部分

別型鏡での最大相関値によって選び抜かれた部分
次に、内区に対して外区による分類を考えました。外区は3次元形状を保存できていないデータでは、判断ができないため、デジタル形状計測によるデータを使用することが有効であるように考えられたためです。これにより、閾値の設定で分類が可能といえました。
最後に、彫刻の凹凸分布を考えました。大きく分類される、形式の分類を、凹凸ヒストグラムの類似性の相関を取ることにより判断しました。その結果、種類が違うものを分類できました。しかしながら、この大きな分類は目で見ることで判断できる部類です。この、凹凸の分布は彫刻の浅さ・深さに依存するため、同型鏡のなかでも踏み返し鏡といわれる形式での判断への指針になるかもしれません。
注意点
今回はサンプルが40枚程度です。日本全国で約400枚出土しているものの判断については、不十分な数であったと思われます。

ホームに戻るホームに戻る