システム制御情報学会研究発表

学会発表
北出雅央, 八木浩明, 眞溪歩, 大城理, 千原國宏.
遠隔画像診断のための超音波Bモード動画像の圧縮.
第42回システム制御情報学会研究発表講演会講演論文集, pp.443-444, 1998.

遠隔画像診断のための超音波Bモード動画像の圧縮

北出雅央, 八木浩明, 眞溪歩, 大城理, 千原國宏

奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
〒630-0101 奈良県生駒市高山町8916-5

概要:
本研究では,医療超音波画像に特化することにより情報量の 削減を図る手法を提案する。医療超音波画像は,音線情報に基づき 構成されていること,また画像のフレーム間の差分が非常に少ないこ となどの特徴がある。これらの点に着目し,医療超音波画像に特化 した圧縮手法である。


A Method for Compressing and Transmitting
Ultrasound B-mode Image in Telediagnosis

M.Kitade, A.Matani, O.Oshiro and K.Chihara

Graduate School of Information Science,
Nara Institute of Science and Technology
Takayama 8916-5, Ikoma, Nara 630-0101 JAPAN

Abstract:
In this paper, we propose a new image compression method for ultrasound image sequence transmitted by tele-echography system. This method is constructed with the extraction of the sound data from ultrasound image and the compression of the sound data. As the compression procedure, the inter-frame run length encoding method is applied. An experimental result shows the proposed method has high compressive ability.



1.はじめに

医療超音波画像は,他の医療画像と比較した際に,画像取得が速い, 被曝などの危険性がない,装置自体が安価であるなどの利点があり,内科 診断においてよく利用される。 その反面,画像が他の医療画像に比べて画質が悪く,診断に際してはある程度 の知識と経験を持った熟練者が必要であるという問題がある。 この問題は,超音波画像による診断の熟練者がいれば解決する問題ではあるが, 現代医療の専門分化の進展する状況下において,十分な診断の行える熟練者が 常駐する施設がそれほど多くないというのが現状である。

その問題を解消すべく提案され,また近年現実味を帯びてきたのが遠 隔診断である。これは,現在多くの医療機関で日常的に使われる超音波診断装 置で取得した画像を,情報通信網を介して伝送することで先程の問題を解消しようという ものである。

診断においては患者側と診断側の円滑なコミュニケーションが必要である。 そのため,実時間で超音波画像伝送をしなければならない。 その時,超音波動画像を伝送するにあたり,通信容量の限られた 通信回線を使うため膨大なデータを圧縮する必要性が生まれる。 そこで我々は超音波画像の特徴に注目し,情報量の削減を図るための超音波動 画像圧縮手法を提案する。

2.超音波画像の特徴と提案する圧縮手法

本研究では,セクタスキャン超音波画像を用いるが,診断に直接関係するのは超 音波画像が表示される領域のみである。そこで、転送領域は超音波画像領域のみとする。

また、セクタスキャン超音波画像は、超音波探触子を扇状に走査するため、得 られる音線データは極座標上のものとなる。画像をディスプレイに表示 する際には、直交座標上に音線データから補間する必要がある。図1に補間さ れた再構成画像のモデルを示す。音線データは矢印で示すように あり、その他の領域は補間領域である。ただし,実際の音線データは図よりも 密にある。

超音波画像領域と音線データ
図1:超音波画像領域と音線データ

これは,音線データのみを送ることで超音波画像の再構成が可能であることを 示している。 そこで,音線方向の情報のみを転送することにより画像情報の 冗長性を省き,転送情報量を少なくする。 また,さらに圧縮を可能にするために,フレーム間において音線データの相関が高いこと に着目し,以下のような手法を提案する。 超音波画像は一般に,1画素あたり256階調(1バイト)が割り当てられる。 超音波画像において256階調は必要ないので,その1バイトの輝度情報を64階調 (6ビット)に落とす。次に残りの2ビットに対して は図2のように同一座標の輝度値のランレングスの値に割り当てることにより,ランレングス圧縮を 行う。ランレングス圧縮に割り当てるビット数はフレームの 枚数に対応する。フレーム数が多いほど圧縮率が向上するが,リアルタイム性 を維持するため,今回はフレーム数を4(2ビット)とした。

フレーム間のランレングス圧縮

図2:フレーム間のランレングス圧縮

3.実験と結果

連続する心臓の超音波画像を4枚抽出し,無圧縮,音線データのみ抽出したも の,音線データをフレーム内でランレングス圧縮したもの,本研究の手法により圧 縮したものを比較検討した。結果を図3に示す。

各圧縮画像の情報量

図3:各圧縮画像の情報量(4フレーム)

4.考察

結果より音線データの抜き出しによる情報量の削減が大きいことが明確である。 そして,フレーム間のランレングス圧縮により,さらに圧縮効果 を高められた。

5.おわりに

音線情報の抜き出し,及びフレーム内,フレーム間の相関を利用 した圧縮が有効であることがわかった。 両手法を適切に組み合わせることにより,より効果的な圧縮が考えられる。

参考文献

[1]水間 玲,金谷 一朗、眞溪 歩、大城 理、千原 國宏:「遠隔超音波診断における画像転送手法について」\ JAMIT Frontier '97「講演論文集」pp.62-65

[2]八木 浩明、眞溪 歩、大城 理、千原 國宏:「遠隔診断における超音波動画像転送」電気学会研究会資料 医用・生体工学研究会MBE-97-15


Back To [ Top Page | IS,NAIST | Chihara lab. ]
お手紙は、こちらへ