装置の検査や生産工程においては多数の部材と様々な治具とを組み合わさなければなら ないが、このような作業ではマニュアルの参照が必須のものである。しかし、マニュア ルの可読性を上げるなどの工夫をしたとしても、作業対象とマニュアル間での視線の移 動は頻繁に起こり、マニュアル中に指示された作業対象を見つけるまでに、不要な時間 が経過してしまう問題がある。また、検査作業中に使用する治具についてマニュアル中 の記述が熟練作業者を対象としていた場合、非熟練作業者には、治具の使用方法が理解 できず、誤った操作をする可能性が生じる。
拡張現実感(AR:Augmented Realiry)技術は、コンピュータによって合成された仮想環境 を実環境に融合させることで、実環境だけでは得ることのできない情報を仮想環境を介 してユーザに獲得させることを可能にする[1]。 もし上記のような作業に対して、AR技術を利用すると、操作対象などの操作の方法を対 象の上に重ねて文字情報のみならずグラフィカルな情報も作業者に提示することが可能 になり、作業者は作業対象から視線を逸すことなく、的確な作業を進めることができる。 また、非熟練作業者から熟練作業者まで、その熟練度に応じて適切な支援が行なわれる ことで、ヒューマンエラーの低減された確実な作業が実行できるものと考えられる。